●フムフムの物語「気が変わる日」かわむらすずみ 作
シマフクロウのフムフムは、朝まだ暗いうちから
釣りの準備をしていました。
釣竿一本を抱えて、
お天気はどうかと窓から空を見上げると、
「う、つめたい。」
ポツリとクチバシに雨粒が落ちてきました。
「ホウホウ、雨か。
そうすると今日の色は‥。」
フムフムは
釣竿を一旦ドアに立てかけると、
部屋奥の棚の引き出しから
絵の具一式を取り出しました。
お気に入りの絵筆をながめてにっこり。
翼いっぱいに広げたパレットに
ちょちょっと絵の具を垂らすと、
自分の体に色鮮やかなしずく模様を
次々と描き始めました。
「ホーウ。なかなかいい出来だ。
よし、後で絵描き仲間に
この素敵なしずく模様を見せに行かなくちゃあ。
そうだ、今日は仲間に借りた美術書を読もう。」
フムフムは
温かい珈琲を入れるために
キッチンへ歩き出しました。
おや、フムフム!
釣り竿はドアにたてかけられたままですよ‥。
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